データ入力用語シソーラス辞典

このページは 2007 年 07 月 17 日 21時47分00秒 に更新したキャッシュ情報です。

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納期とは?

[ 162] プロジェクトの納期遅延について - IT戦略
[引用サイト]  http://www.atmarkit.co.jp/bbs/phpBB/viewtopic.php?topic=14494&forum=15&40

某企業の電算室にいる者です。
システム再構築に当り、発注先の中堅ソフトハウスの成果物の出来栄えが芳しくありません。
当初納期をすでに経過し、納期延長を幾度か繰り返しており、現在のスケジュールも信用がおける状態でありません。明らかにテストをせずに納品されているものもあり、とても使用に耐えうるレベルでは無いと見ています。
品質が悪いことは先方も認めており、対処中ですが、一向に品質の上がる兆しがなく、無理にカットオーバーすると大混乱を招く恐れがあるので、予定を立てることも難しくなっています。
既に上司は会社に信用が置けないとまで言っており、会社を選定した私の立場も危ういものになってきています。
既に詳細設計までの検収が済ませてしまっており、残りの支払が残っていますが、契約を打切るとか、損害遅延の賠償を請求して通ったとかのケースは実際のところあるものなのでしょうか?
ちなみに契約書の書面をそのまま受け取ると発注者側は、受注者側が機密漏洩に相当する事項の無い限り、契約破棄ができないと有ります。特に記述の無い部分は双方合意の上、誠意を持って対処というあいまいな表現が付け加えられてはいます。

こうした事例に直面された方のアドバイスをお願いします。

引用:
きくじろうさんの書き込み (2004-09-06 09:17) より:

品質が悪いことは先方も認めており、対処中ですが、一向に品質の上がる兆しがなく、無理にカットオーバーすると大混乱を招く恐れがあるので、予定を立てることも難しくなっています。
既に上司は会社に信用が置けないとまで言っており、会社を選定した私の立場も危ういものになってきています。
既に詳細設計までの検収が済ませてしまっており、残りの支払が残っていますが、契約を打切るとか、損害遅延の賠償を請求して通ったとかのケースは実際のところあるものなのでしょうか?
ちなみに契約書の書面をそのまま受け取ると発注者側は、受注者側が機密漏洩に相当する事項の無い限り、契約破棄ができないと有ります。特に記述の無い部分は双方合意の上、誠意を持って対処というあいまいな表現が付け加えられてはいます。

もうすでに「契約破棄」という状態まで事態は深刻化してしまっているのでしょうか。
法律の事はよくわかりませんが、よくやる(やられる)手としては、「検収しない」
要するに、契約書とかに「納品後○ヶ月以内に発注側が検収し...」というくだり
があると思うのですが、とにかくダメ出しを続けて検収がどんどん遅れていくという
状態になります。あまり好ましくはありませんが...

もし、まだそこまで事態が切羽詰っていないのであれば、何故品質が悪いのか、どうい
う作業をしているのか、テスト方法は?というような事をもう一度一緒に見直してみて
はいかがでしょう。ここに至っては両者とも一緒になって問題解決に当たるようにして
みるほうがよろしいかと。先方にも言い分があるかもしれないことですし...
・成果物ができてないのは諦める。
・だけど、もうお金は払わない。

というのが限界だと思いますね。遡って支払分を弁済させたり損害賠償請求をするのは
難しいと思います。というのも、発注側がパーフェクトな仕様書を作成していることが
ほとんどなく、相手が強硬姿勢になると、こちらの落ち度も指摘されてしまうからです。

たとえば「あるファイルを開く」という処理があったとき、ファイルが存在しない場合の
例外処理について仕様書に記述されていなかったとします。常識的というか一般的な UI
としては、「ファイルが存在しない旨をユーザーに提示し再入力を促す」と思いますが、
「処理系の素のエラー(FileNotFoundとか)を出してプログラムを終了する」という実装も
考えられるわけです。これはプログラムが異常終了してしまうのでバグと考えがちですが、
仕様で未定義なのですから、バグではなく実装のひとつとも言い張れます。

たいてい喧嘩になると、このような「仕様書に書いてない。バグではない」という言い争いに
なりますね。挙句の果てに「仕様書の未定義部分が多いから、納期が遅れるのは当然だ」と
言い出す開発もいますね…。私の場合は「たしかに仕様書に書いてない。あなたの裁量に
任せた私が馬鹿だった。」と諦めます。

仕様書に未定義部分がないと自信を持って言えるほど立派な仕様書を書いているのであれば、
損害賠償請求できるかもしれませんが。まず、自社の設計・仕様に落ち度がないかを
確認しておくべきだと思います。
Beatleさん、未記入さん、
早々にご回答を頂き有難うございます。

Beatleさんの言われるように、そこまで深刻化しているわけではありません。
喧嘩して訴訟問題にまで発展することはおそらくお互いにとってマイナスになることは
間違いないと思いますので、とにかくなんとか立ち上げたいという希望はあります。

今回の場合、要求仕様書として書面提示しているわけではありませんので、
受注者が打ち合わせの結果をシステム化するに際して詳細設計書のレベルにして
承認を取るということになります。
未記入さんの言われるように、その仕様書がパーフェクトでなく、漏れだらけ、
エラー処理の定義どころかファイルのIOも明確にされていない代物、しかも
基本設計がされてないと思われるので、辻褄の合わない部分が一杯あるという
状況です。
「たしかに仕様書に書いてない。あなたの裁量に任せた私が馬鹿だった。」
ことには間違いないですが、自社ですることができるレベルではありませんので、
Beatleさんの言われるように、
時間をかけて、検収せずに我慢強く対応させるしか手は無いのでしょうね?

もし信頼できるソフト会社にあてがあれば、今のソフト会社にそこから人を
送り込めると時間を無駄にしなくていいですよね。(できればチームで)
交渉の中で、「人が足りない」という言葉が言わせられればしめたものです。
あてがなければここで

引用:
きくじろうさんの書き込み (2004-09-06 11:00) より:

時間をかけて、検収せずに我慢強く対応させるしか手は無いのでしょうね?

きくじろうさんの会社で、最終期限がそれほど明確でないならば、そのほうがよろしい
かと。ただ、現状システムの乗せ変えとかで、HOSTのリースアップ期限があるなんて
場合には、ずるずると行くと発注側でも大損害が出ることもあるので、「ほどほどに」と
しか言いようがありません。

余談ですが、中小の会社にとっては「検収が遅れる」→「入金が遅れる」というのは、
損害賠償と同じほど「きつ〜い事」なので(金額が大きい場合は特に)、何か手を打つ
か、逆に突っ込まれるかもしれませんね。
以前、「賠償金払ってもいいから、もう手を引かせてくれ〜」なんてプロジェクトありま
したよ。涙)
引用:
余談ですが、中小の会社にとっては「検収が遅れる」→「入金が遅れる」というのは、
損害賠償と同じほど「きつ〜い事」なので(金額が大きい場合は特に)、何か手を打つ
か、逆に突っ込まれるかもしれませんね。

更に余談ですが、下請法が適用されるなら支払いの基点は検収でなく納品だったような気が...
法規に詳しくないので間違っているかも(^^;;
こんにちは。
大変なプロジェクトのようで…

基準を測れるモノがないように感じます。
そこが明確にならない限り、現状が続くのではないでしょうか。

双方で解決できそうにないのであれば、第三者(コンサルタント等)と投入して、問題の切り分けや仕切り直しをする手もあるかもしれません(当然、費用は発生しますが…)。
発注先にこれ以上お金を払わないにしても、スケジュールが遅れれば きくじろう さんの会社にも損害は発生する(している)と思います。

 

[ 163] 悪魔に心を売っても納期を守る! 裏技術 − @IT自分戦略研究所
[引用サイト]  http://jibun.atmarkit.co.jp/lcareer01/rensai/career21/data21.html

納期まで余裕たっぷり……そんなことはめったにない。納期を守るため、できる限りの努力はしても、無理が生じることもある。そんなとき、エンジニアが使う裏技術を紹介しよう。背景にある問題にも気付かされる。(Tech総研/リクルートの記事を再編集して掲載)
きっかけは知り合いのエンジニアから聞いた、何げないひと言でした。「納期? いざとなったら要件を変えちゃっても何とかするよ」。それがきっかけで300人のエンジニアに、「納期に間に合わないと分かったときに使う裏技術」を尋ねたわけです。
アンケート調査では、納期に間に合わせるためのワザ以外にも、前提となる納期の厳しさや現状の納期への考え方なども聞いています。
「仕事が始まった時点で納期達成が絶望的」(図1)ってかなりむちゃな話ですが、仕事の半分以上がそうだというエンジニアが4割もいます。普通の仕事だってスケジュールは徐々にズレていき、結局は納期と戦う羽目になるでしょ。それなのに、例えば「最初から納期は絶望的」な仕事が8割という人が、10人に1人いるわけです。
それを思うと、「何が何でも納期は守る」と答えた人のエンジニア魂が光りますね(図2)。しかもこの18%(53人)の「納期が絶望的な仕事」の割合は、全体調査の結果とほぼ完全に一致しています。納期に余裕のある特別な人というわけではないのです。
それはさておき、ここでいいたいのは、「エンジニアが納期を守るのにはそもそも無理がある」→「だから多くの人が裏技術を使っている」という現実です。しかもその技術の中には、人として許されないようなものも数多くあるのです。
帳尻合わせの技術には、いくつかのパターンがあるようです。テストの手抜きだったり、データのコピーだったり、機能を分割した納品だったり……。回答の多かった4つに分類して、100点満点で点数を付けました。
取りあえず正常系の動作確認だけ済ませた状態でリリース。顧客もマージンを取っているのでいいでしょ。
異常系の評価でエラーリポートがくるのは分かっているので、それまでに異常系の作り込みを終えておく。顧客は素早い対応に満足、こっちは時間が稼げて双方ハッピー。
客先で不具合率が10%の異常発生。原因は静電気。試験を行っていなかった責任で、以後無償修理を3年以上継続しています。
テストやチェック工程はおざなりに実施して次工程へ進み、バグが出るたびに対応。上司も黙認の常とう手段。
システム導入後に不具合続出。データのハンド修正で日常業務を回しつつ、夜中や休日に改修作業を実施。当然赤字でボーナス査定もマイナスだ!
運用系の試験で日数のかかるもの、例えば30日以上回さなければならないものを20日でOKにしてしまう。
ウチの社のあしき文化。幸いにも外部には気付かれていないが、個人的にはいつ火を噴くかと……。
結局、検討不足のため乗数変更だけでなく回路変更も必要となり、修正が徹夜作業となった。
本来派生しなくてもよかったクラスを、上位クラスの動作がよく分からなかったためソースコードをコピペして勝手に派生させて作った。
見事に納品先のソフトウェア管理者に見つかったが、何とか目をつぶってもらい、次の改修で必ず直すことにした。
絶対に間に合わない状況だったため、過去に他社に納品したプログラムをほぼコピー。
単体・結合テストを簡単に済ませていたため、プログラム修正が続いて工数が大きく膨らんだ。
主要部分の強度計算はするものの、そのほかの部分は似たような前の実績のものをひたすらコピペ。製作段階では職人さんに飯食わして深夜残業。
タンクから漏れが発生! 職人さんからはにらまれて関係修復に1カ月かかった。
既存の数点の製品とデータを流用して、ユーザーにわざわざ選択肢を用意した形にする。
既存の製品を評価してもらって基礎データが取れ、開発の参考になった。ユーザーと検討する機会も増えて、関係もよくなった。
店舗内サーバ開発で、お客には見えない機能を後付けできるようにしておき、基本機能だけで納期に間に合わせた。「機能改善項目がいくつか残っていますが、問題ありません」といい切った。
システム維持・保守のフェイズに入ると担当部署からクレームの嵐。遠隔メンテナンス機能などが不完全だったので、全国を走り回るはめになった。
どんなに使い勝手が悪くても、仕様書に載っていないことは絶対に口に出さない。
機能的に省けるもの、簡略化できるものを探して、最低限の仕様にしてしまう。
納品時には問題なく、2年以上たってから機能追加の依頼。有償で対応させていただいています。
設備の仕様が決まっていないうちに先行発注。なるべく影響が出ない部分から製作に入り、無理やり納期に間に合わせる。
問題ない場合もあるが、大きな仕様変更で先行製作が無駄になり、製作費が予算オーバーすることもある。
半導体図面を完ぺきに作図して提出するのではなく、下の層から少しずつ提出する。メタル配線のつなぎ替えで回路変更できるように設計しておく。
開発スピードを上げるため、チーム全員でソースのべた書き。後のメンテが大変になるのは分かっていたが……。
ソースの標準化やモジュール化を一切無視して開発し、テストだけはきちんとやって納品。
発注元が保守担当の予定だったが、保守できないとの連絡。自分で再度格闘することになり微妙な状況です。
vxWorksでコンパイル時にprintf文を入れるだけで動作が変わったことがあり、無駄なprintf文を入れて無理やり動作させた。
ほかの修正が入った場合に正常に動作するよう、printf文を抜いたり入れたりで悪戦苦闘中。
自動で行うべき処理を手動操作で運用するように変更。トラブルが起こりやすいのは承知していたが、人力でカバーするしかなかった。
バグや運用ミスが続き、いまだに自動化できていない。顧客にはいいかげんな理由をいって先延ばしにしている。
方法別ではなく感情別に、裏の技術を分類してみました。「こんなことしていいんかい!」という犯罪スレスレ(すでに犯罪?)のものから、「あれ、使えるんじゃない?」といったアイデアまで、実に千差万別です。かなりセコいものもありました。
出図した後に検証する。問題が発覚した部分については、組み立てが行われる前にこっそり部品交換する。
相手(顧客)のあら探しをして徹頭徹尾そこを糾弾する。決してこちらの非は認めない。
金銭的な面でもめにもめたりすることはあるが、結局のところうまく収まる。
誤差の範囲で合っている製品だけを抜き出して、全部が合格していることにする。少しの誤差ならOKを出す。
見た目の動きさえ合っていればいいだろうと、正当な計算ではない処理で形成した。
「正確な計算結果と違うのでは?」という指摘があったが、「ゆらぎの要素が入っているから」というもっともらしい返答で乗り切った。
そういうところに限って、本番でバグが出るんですよね。本当のことはいえないから、また理由をでっち上げます。
成果物の根拠となるデータを分析する時間がなかったため、ほとんど読めないほど小さいフォントで印刷して提出した。
どうやって読んだのか、膨大な付箋つきで突っ返され、その回答に追われた。
納品のときに出来上がっていない機能を、「メディアに入れ忘れました」といって社に戻った。納期を1日延ばすことができた。
小さいプログラムで開発要員も私だけ。誰にもバレず、お客さんにも不審がられず、問題なし。大成功といえるでしょう。
顧客がいっぱいいっぱいになって受け入れチェックが甘くなり、少しのミスなら気付かない。
職場の女性へ根回しする。うわさ話やさりげない日常会話を通して、納期が危ないことが上に伝わるようにする。
フォーマットなどのケアレスミスが見つかって、たまに気まずい雰囲気になる。
データ項目設計時に、ある項目について詳細までは要否を確認せず、類似システムの項目を流用する。これにより、データ項目を最大公約数で設計することになる。
不要な項目も多く存在するが、仕様変更の際に必要な項目がすでに入っているため、作業効率を向上させることができた。
概要設計書や運用設計書を第0版とし、多少の記述漏れなどは見逃してもらう。通常設計後に構築となるが、一部は設計と構築が一緒に走るイメージ。
帳尻合わせの技術(?)の数々、いかがでしたか。「ここまでやるか」とあきれてる? それとも「まだまだ序の口よ」と薄ら笑いを浮かべてる? 少なくとも、あなたを含めたエンジニアが、どれほど納期に苦しんでいるかは実感していると思います。
その原因とは何か。半分近くの人が「そんな仕事を受けるなよ」と受注者に、3割の人が「そんな仕事を振るなよ」と発注者に問題ありと見ています(図3)。つまりは人のせい。だけど、裏ワザ使用には約3分の2の人がうしろめたさを感じています(図4)。救いがあると思いませんか。
どうにも落としどころが難しいのですが、アンケートに「裏技術はなし」「徹夜・残業で間に合わせる」と答えた人が28人いたこともあり、少しは明るい終わり方にしたいと思います。スティーブ・ジョブズが6月に、スタンフォード大学の卒業生に語った一節を引用します。
「人生には時として、レンガで頭をぶん殴られるようなひどいことも起こるものです。だけど、信念を放り投げちゃいけない。私がくじけずにやってこられたのはただ1つ、自分のやっている仕事が好きだという、その気持ちがあったからです」
衝撃的なタイトルと裏技術の数々に目を奪われるが、この記事はエンジニアが抱える深刻な問題を提起している。
今回紹介した裏技術はかなりきわどい。しかし一概に「悪」として責めがたいものもある。例えばテストにしても、正常系以外、または本筋から外れるものならばきりがないところもある。問題は、当初の契約ではどこまでが作業範囲として想定されていたかだ。想定外の追加作業が発生したら、気付いたときまたは納品時に相談して別途対応すればいい場合もある。伝えるべきことを伝えないと後に問題になりかねない。勇気を持って誠実に実情を説明できるようにしよう。
正直いって、こういう危ない橋はあまり渡りたくないものである。だがこれらの裏技術の使用は、追い詰められた故に出てきてしまう現象だ。本文アンケート調査によると、最初から納期が守れなさそうな仕事も多い。スタート地点から納期達成は難しいということだ。それなら、こうした無理のある計画こそ問題視すべきではないか。
MS技術を極め、世界で通用するエンジニアに! マイクロソフトプラットフォームがミッションクリティカルなシステム開発で数多く使われている理由とは?
顧客から評価される高付加価値エンジニアの道 次世代エンジニアに必要なスキルは「顧客の期待に応える技術力。そんな高付加価値エンジニアになろう
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大規模案件に不可欠なNTTデータのアーキテクト 公共分野でオープン技術を広めてきたNTTデータのアーキテクト部隊。その4年間の軌跡と今後の展望を聞いた
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[ 164] 先輩エンジニアが心得ておくべきこと(後編)
[引用サイト]  http://jibun.atmarkit.co.jp/ljibun01/special/senpai/senpai02.html

研修を終えた新人たちが現場にやってくる。皆さんの中には、先輩エンジニアとして彼らを指導する人も多いのではないだろうか。新人を迎え、指導するために必要なのは、相手を知り、自分を知ること。新人と自分との間にあるギャップを意識し、成長の手助けをしよう。それが先輩エンジニアとしての心得だ。
研修を終えたばかりの新入社員を迎え入れるには、いまの自分が彼らに比べてどう成長したか、つまり新入社員と皆さんとの間にあるギャップを知っておくことが重要です。
「前編 新人はスケジューリングをしない」では、「学校と社会のギャップ」についてお話ししました。後編に当たる今回は、「理論と実践のギャップ」をご紹介します。
社会人として仕事をする中では重要なのにもかかわらず、新入社員にとってはとかく面倒くさいものの代表として、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」が挙げられるでしょう。
新人研修中でも訓練の意味で日報や週報を新入社員に提出させる会社は多いと思いますので、「報告」の仕方に関しては新人もある程度理解しているでしょう。ですが、新人研修は研修カリキュラムのスケジュールを研修担当者が管理しているわけですから、いわゆる「進ちょく報告」のたぐいは経験していないと考えた方がよいでしょう。
システム開発に携わるエンジニアの場合、報告の中でも特に重要なのがこの進ちょく報告です。エンジニアの進ちょく報告には、次のような内容が含まれるでしょう。
皆さんには当たり前のようにできている報告でも、新入社員がいきなり実践するのはなかなか難しいものです。例えば1の進ちょく率などは、弊社で研修を行った際に新入社員に報告させても、「?」となるばかりでほとんど要領を得ませんでした。
もしその新入社員が実装を担当しているとすれば、担当しているクラス数に対してのコーディングが終了したクラス数の割合を求めれば、かなり粗いですがおおよその進ちょく率を求めることができます。新入社員はそのような判断基準を持ち合わせていないので、皆さんからこのあたりの算出基準を教えるとよいでしょう。
そのほかの「連絡」や「相談」の重要性に関しても、新人研修中にはなかなか実感を伴う経験ができないので、配属後もピンときていない新入社員が多いことでしょう。
連絡に関して、弊社で研修をするときは、とにかく「確実に伝わる手段を取ること」を教えています。顧客の中には時々、メールの返信がすぐに帰ってこないと文句をいってくる人がいますが、メールはもともとリアルタイムで内容を送受信するインフラではありません。このようなことをいう人は、連絡のための適切な伝達手段を取っていないことになります。良識のある顧客ならば、急ぐ連絡は電話でしてくれるはずです。
相談に関して、新入社員が一番悩むのが「相談するタイミング」です。パターンとして、新入社員ができるだけ自分で調べて解決しようと頑張るあまり、半日、1日と作業が止まってしまうことがよくあると思います。新入社員から質問がなければ、そのときは先輩は仕事がはかどりますが、新入社員が質問すべきところを質問せずにずっと悩んでいた場合、結果的には先輩の仕事が増えてしまいます。やはり適切なタイミングで相談してもらう必要があるでしょう。
とはいえ、適切なタイミングの判断基準が分からないことが新入社員の悩みどころなので、「30分悩んで何もできなければ相談する」というような、数値化したタイミングを提示してみるのはどうでしょうか。
弊社が新入社員の研修を請け負う場合、仕上げとして必ず新入社員にチームを組ませ、仮想のシステム構築案件をさせるようにしています。このときに多いパターンとして、「設計〜実装はとても熱心かつ丁寧にやっているが、テストや納品物の整理になるととたんに力が抜けて雑な作業になってしまう」というものがあります。
「エンジニアはドキュメンテーションが嫌い」というのはこの業界の定説ですし、テスト工程の作業が面倒なのもある意味当たり前の話です(だからこそエンジニアはテストをできるだけ自動化したいと願い、工夫します)。この業界に入ったばかりの新入社員では、この傾向はなおのこと強いのです。彼らにとっては実装が最も楽しい作業であり、実装こそエンジニアの本当の仕事、ほかの作業は面倒なものという意識は、皆さん以上に強いといえます。
私自身も、新入社員のときは雑なテストをしてよく怒られた記憶があります。新人研修でもテストやドキュメンテーションの重要性は教えられてくるはずなのですが、現場の先輩である皆さんが実地の経験を基に話をするのも1つの方法です。
もし皆さんが開発案件を2〜3年経験しているとしたら、きっと1回くらいは、テストが不十分で納品直前にバタバタしてしまったプロジェクトを知っていることでしょう。そのときの経験を話してあげれば、新入社員にとって研修だけでは分からない生きた知識となり、面倒な作業の重要性を認識させることができるのではないでしょうか。
開発現場の先輩社員はなぜ徹夜や休日出勤をしてまで納期を守ろうとするのか、新入社員にはピンとこないだろうと思います。
数年前、とある会社で新入社員研修をしたときのことです。連休が明けて研修会場(顧客のオフィスにある会議室)に行ってみたら、机の配置は変わり、部屋全体が散らかり気味、しかも研修用のマシンが使われていて、研修で使う予定のないソフトウェアが入っていたことがありました。新入社員たちは初めはあっけにとられていましたが、この会議室が連休中何に使われていたのかに気付くと、皆一様に不安な顔つきになったものです。「実際の開発では連休にも作業をしないといけないのか」とでもいいたそうでした(しかも、受託開発案件は4月カットオーバーだったり、5月の連休明けにカットオーバーだったりすることが多いですよね)。
納期を守ることの重みを示す、分かりやすい例といえます。このことを新入社員に理解させるのには、「エンジニアにとって納期は絶対だ」と鉄則化することも必要ですが、納期を守らないとどんな不利益があるのかを説くことも良い方法ではないでしょうか。
前回の「ギャップ3 新人は開発案件がどうやって利益を得ているか知らない」でお話ししましたが、担当者が作業をすれば、それだけでコストが発生します。納期をオーバーして作業をすれば、ほとんどの場合そのプロジェクトは赤字になり、利益にならないと分かっている作業をし続けることになってしまいます。納期を守ることは、顧客の信用を保つという倫理的側面もあるのですが、会社としての利益を確保するという企業活動の根本にかかわる部分が大きいというところを新入社員に理解させることが重要でしょう。
エンジニアが開発案件で解析が困難な問題や難しいバグに直面したとき、真っ先に思うことは何でしょう。「逃げ出したい」。それももちろん1つの回答ですが、「作り直したい」と思うことはないでしょうか。
しかしながら、首尾よく作り直しができる案件はごくまれである、というのは皆さんもよくご存じのことかと思います。ほとんどの場合、納期の問題で作り直している時間がとても確保できないとか、すでに運用に入っていてもう作り直しがきかず、現状のモジュールで何とか対応しなくてはいけない、というのが普通でしょう。
私たちでさえ作り直したいと思うのですから、新入社員ではその傾向はますます顕著です。きつい、難しい、理解しにくいと分かっているコードをメンテナンスするのは、いうまでもなくとても苦しい作業です。
弊社で新入社員研修を請け負う際には、カリキュラムにシステム開発を設計から実装、テストまでひと通り体験させる仮想プロジェクトの運営を入れています。新入社員の作成した設計をレビューした段階で「これはやり直した方がよい」と思っても、あえてやり直しをさせず、そのまま最後まで設計させ、実装させることがあります(新入社員にしてみれば、「気付いているのになぜ指摘してくれないのか」と反感を覚えるところでもあるのですが)。
実際の業務では、やり直したいと思った時点ではすでに作り直しができない状況になっていることの方が多く、そのことを少しでも新入社員に経験させたいという目的があるのです。作り直しのできない状況で現実的なソリューションを少しずつ積み上げていく経験は、そのときはつらいですが、後々の開発できっと役に立つだろうと思っています。
「これは作り直した方が早いよ」というのはエンジニアがよくこぼす愚痴ですが、同じような局面はおそらくビジネスのあらゆるところに存在しているのです。きついと分かっている局面を耐えて乗り切るエンジニアの忍耐強さは、ビジネスパーソンとしての普遍的な忍耐強さにつながる、大事なスキルであるといってよいでしょう。
ここまで2回にわたって、先輩社員の皆さんの参考になるような、新入社員と皆さんの間に存在するギャップのパターンをご紹介してきました。
新入社員がそのギャップを意識し、自分を成長させるためには、ギャップを埋めるためのお手本となる存在が必要です。そうです、もちろんそれは、OJTなどで新入社員の面倒を見ることになる皆さん自身なのです。
数年前、ある会社で若手〜中堅の社員の研修を請け負ったときには、2〜3年目のエンジニアの中にも、まともに進ちょく報告が書けない人が多くいました。これでは、もし彼らのもとに新人が入ってきても、正しい進ちょく報告が書けるようになる可能性は薄いといわざるを得ないでしょう。
新入社員の進むべき方向は皆さんが示さねばなりませんし、間違ったときにそれをしかるのも、もちろん皆さんの役目です。
まずは、自分がここに挙げたようなギャップをまだ持ち続けていないか、新入社員が見てまねしたい存在となっているか、確認するところから始めていきましょう。本稿が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
株式会社テンアートニアプリケーションビジネスユニットテクニカルソリューション トレーニンググループコンサルタント
中越智哉●1974年北海道生まれ。1999年北海道大学大学院 電子情報工学専攻修士課程修了後、同年4月テンアートニ入社。開発案件・トレーニング講師を担当。2000年12月より、@IT Java Solutionフォーラムにて「Java Solution FAQ」を執筆(2001年11月、同連載をもとに書籍「Javaプログラミング FAQ」出版)。その後、基幹系業務システム開発SEなどを経て、現在は教育事業(コース開発および講師)・コンサルティングに従事。
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